会長挨拶


 この度、第16回日本在宅静脈経腸栄養研究会学術集会をお世話させていただきますことをたいへん光栄に存じ、会員の皆様に心から御礼申し上げます。本研究会の目的は、在宅静脈経腸栄養に関する基礎的ならびに臨床的研究の進歩、知識の交流及び普及に貢献することとされております。本研究会の活動を通じて、在宅静脈経腸栄養がさらに安全かつ効果的に広く実践され、診療に生かされ、そして多くの患者さんにQOLの向上につながることがわれわれ共通の願いです。
 当教室として本研究会を開催させていただくのは初めてですが、第2回研究会を、里見進会長が仙台で主宰しており、葛西外科の同門という意味では、皆さまを再び仙台にお迎えする会となり、たいへん喜ばしく感じております。
 当教室の輸液・栄養の研究の歴史は、1950年代に故葛西森夫名誉教授が初めて小児外科の研究グループを立ち上げた時にまで遡ります。その後、1968年にS.J.DadrickがTPNを開発しますが、フィラデルフィア小児病院で彼の報告例を間近に見た葛西先生は、早速帰国して直ちにTPNの研究を開始しました。小児外科輸液・代謝・栄養は、その後継続して教室の取り組む大きな臨床・研究課題のひとつであり、これが現在の腸管不全症の包括的治療、すなわち小腸移植を含む腸管リハビリテーションプログラム(IRP)の確立・遂行・推進に連なっています。
 在宅静脈経腸栄養をいかに安全にスムースに行い得るかはIRPの根幹をなす部分であり、多職種連携はそのもっとも重要なキーワードでもあることから、今回、本研究会のテーマを、『多職種で支援する在宅栄養』といたしました。少子高齢化の傾向がさらに加速するわが国の医療事情の中で、在宅医療は否応なくその重要性を高めており、とくに静脈経腸栄養の領域はその中でも中心的な存在でもあります。わが国の在宅静脈経腸栄養の現状から短期的・長期的な将来像を見据えて、これに関わる多くの職種の方々にご発表頂き、議論を交わして頂ければと存じます。
 10月の仙台は、気候も味覚もお薦めできますし、また少し足を延ばすと、日本三景の松島や蔵王の紅葉などをお楽しみいただくのにもうってつけの季節でございます。ぜひ多くの方々にお越し頂き、本研究会がより稔り多きものとなりますようお力添え頂ければ幸甚に存じます。それでは、教室員一同皆さまのお越しをこころよりお待ちいたしておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

2019年4月吉日
第16回日本在宅静脈経腸栄養研究学術集会
  会長  仁尾 正記
東北大学大学院医学系研究科 発生・発達医学講座小児外科学分野 教授

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